男と女の恋愛の法則は昔も今も変わらないらしい。
「運命の恋をかなえるスタンダール」は1822に発刊のスタンダールの随筆集「恋愛論」がもとになっている小説です。
200年近く前の今でいう恋のエッセイ集。
200年前のフランスの恋のテクニックなのに今、読んでもなるほどとうなずいてしまう。昔も今も男女の恋愛に関しては変わらないことが多いみたい。そして国籍も関係ない。
ただ、スタンダールの恋愛論を読むとちょっと読みにくい。じっくり読めば何となくわかるけど、途中で何が言いたいんだかわからなくて、ウトウト。
せっかくの素晴らしい古典文学なのに、なんてもったいないっ
と思っていたら水野敬也さんが「恋愛論」のエッセンスをわかりやすく、しかも面白く、そして泣ける小説?として表現してくれました。
水野敬也さんの運命の恋をかなえるスタンダールあらすじ
水野さんはめちゃくちゃ売れた「夢をかなえるゾウ」の著者です。「夢をかなえるゾウ」はお笑い要素がたくさんで面白くてためになる本でした。
「運命の恋をかなえるスタンダール」もちょっと「夢をかなえるゾウ」のテイストが入っていますw。読んでてクスクス笑っちゃいました。
「恋愛論」は随筆集でしたが、この本は物語(小説)になっています。夢をかなえるゾウ風っていうとわかりやすいかも。
主人公は内気で男性と付き合った経験が全くない聡子。
聡子は普通に親から愛された子供でしたが、あるとき、父親のおこした事件で世間から後ろ指さされるようになる。両親のことは大好きでしたがそんな環境が嫌で家を飛び出して一人で都会へ。本好きの彼女は図書館司書をして暮らしている。自分の容姿に自信がなく性格も内気で過去のトラウマまで抱えている複雑すぎる設定。
しかも大勢がいるところや電車や飛行機では猛烈な恐怖に襲われる広場恐怖の症状もある。
本の最初から、主人公らしきこの女性、大丈夫か?と思ってしまうような不安定さが抜群。
そんな不安定な聡子が図書館に現れたイケメンに恋をする。そして、恋をした聡子の前に現れたのが恋愛論を書いたスタンダールという突飛なお話。しかもスタンダールは聡子にしか見えない。どうやら本の中から飛び出したらしい。
ん???
聡子にしか見えない?精神的にちょっと弱い聡子だから幻覚が見えてる?と読者を不安にさせつつも、どんどん聡子が魅力的になっていく様子にワクワクする。
しかもたまに病気のせいなのか?不安的になって薬を飲んだりするあたりが妙にリアリティーがあって物語に臨場感を感じる。そしていつしかその世界に引き込まれてしまった。
運命の恋をかなえるスタンダールの恋愛テクニック
要所要所で恋愛テクニックがちりばめられています。
・男は向うから来るものをありがたがらない
・美は看板として必要である
・男性に「結晶作用をおこさせろ」
・相手の良いところを見つけたら言葉にして伝える
特にスタンダールの恋愛論の中で「結晶作用」は最も重要。
結晶作用を使うと細い木の枝がダイヤモンドのような輝きに見せることが可能=結晶作用が起こると、相手のどんなところも素敵で愛らしく見える。まさに、あばたもエクボ状態。
スタンダールによるとこの状態は「結晶作用」によって作り出せる。
しかもやり方は簡単。
1.まず、周囲の評判になる(魅力を上げることで周囲の評価が上がる。)ことが重要。⇒急にきれいになった、髪型が変わった、痩せた?などなど
2.自分の心の持ち方は魅力的な部分にだけ意識して短所は無視してよい。
3.悪女になる(期待と不安を与えるコミュニケーション)
最初に気のあるそぶりからの~
相手が自分のことをちょっと気になってきたときに、気のないそぶりをする。
まさに恋の駆け引き。恋愛テクニック。
テクニックもさることながら、物語が最後の最後まで期待を裏切らない面白さでした。